▶ 正倉院の復元楽器

五絃琵琶(ごげんびわ)

現在使用されている琵琶は四本の絃ですが、これは五本の絃が張ってあり頸が真直ぐなのが特徴です。
インドの棒状直頸の五絃リュートが亀茲を経て中国に渡ったと言われています。

阮咸(げんかん)

胴は円形で平たく、中央には円く革が張ってあります。この胴に棹がたてられ、絃は四本、柱は14個あります。
阮咸は「秦琵琶《とも呼ばれ、中国固有の楽器です。
伝説によると、秦始皇帝のとき万里の長城を造る人夫の苦労を慰めるために作られたもの、と言われています。
後の晋のとき、竹林七賢人の一人の阮咸がこの楽器を好んで演奏したことから、阮咸と呼ぶようになったそうです。

瑟(ひつ)

瑟の形は筝に似ていますが、絃は25絃あります。「琴瑟相和す《という言葉があるように、中国では古代から琴と共に使用されていました。
2400年前の「曾候乙の墓《から25絃の瑟が出土していることから、その頃から使用されていたことが解ります。

箜篌(くご)

箜篌は五絃琵琶と共に当時の胡楽器に代表的なものであったようです。
古代のアッシリアを起源として、ペルシャ・イランを経て蒙古・中国に入り箜篌と呼ばれるようになり、日本に伝来してきたと言われています。
大きさは四尺余りで、絃は23本あります。

簫(しょう)

竹の管を横に並べ両側を木の枠で止めたものです。
伝説によれば、舜のときに鳳凰が翼を広げた形に造られたと言われています。これは笙が鳳凰の翼を休めた形を象ったといわれているのと対応します。
簫はパンパイプに属し、南米・太平洋・ヨーロッパにもある楽器で、箜篌同様、曾候乙の墓からも出土しています。

竽(う)

竽は笙と同じくらい古くから使われていた楽器で、笙より一回り大きくオクターブ低い音がでます。 春秋時代中期(紀元前600年頃)には用いられていたと言います。

大篳篥(おおひちりき)

現在雅楽で使用している篳篥と同じ形ですが、管が太くかつ長く、舌も大きいのが特徴です。

方響(ほうきょう)

木の枠の中に上下二段に16枚の長方形の鉄片を吊り下げたものです。<
起源は南朝の梁の時代ではないかと言われています。

塤(けん)

小さい陶土製の卵形の土笛で、上部の吹孔をのぞいて六つの孔があります。これを両手で押さえて音律を出します。